転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

18話 悪役令嬢、答え合わせの時間ですわ!?

「事件三日前」

 アリアはカイルを見る。

「私はハンカチを失くしましたわ」

 カイルは黙っている。

「そして、そのハンカチを――犯人は偶然拾った

私のものだとわかって」

「…………」

「そこで、思いついてしまったのね」

 アリアの声が静かに響く。

「私を犯人に仕立て上げることを」

「…………」

「犯人はまず、皇太子殿下の部屋へ侵入した」

 カイルの表情が僅かに変わる。

「リリアさんと殿下が婚約者同士で、犯人自身も二人と親交があり何度か顔を合わせていた」

「…………」

「だから、殿下の部屋に入っても不自然ではなかった」

 アリアは続ける。

「みんなで集まった時に、こっそりと..」

 皇太子の机。

 そこに置かれていた特殊なインク。

「そして、紙片に文字を書いた」

 ――『旧図書塔 十時』

「…………」

 アリアは目を細める。

 カイルは何も言わない。

「その紙をリリアさんの部屋へ置いた」

 リリアはそれを見て。

 皇太子からの呼び出しだと思った。

 そして。

「旧図書塔へ来た」

 アリアは一歩、カイルへ近づく。

「そこで、リリアさんを殺した」

「…………」

「刃物で何度も刺して」

 アリアの声が少しだけ低くなる。

「余程、恨みが強かったようね」

 カイルの目が伏せられる。

「…………」

「リリアさんが皇太子を選んだから?」

 沈黙。

「皇太子殿下との婚約を受け入れたから?」

 それでも答えはない。

「『僕のものにならないなら、誰のものにもならなければいい』」

 アリアは静かに言った。

「そう思ったのでしょう?」

 カイルの指が、僅かに動いた。

 アリアは続ける。

「そして殺害したあと」

 密室。

「捜査の手を阻むために、糸を使った」

 鍵に糸を結び。

 部屋の外から鍵を回す。

 そして糸だけを回収する。

「密室を作り出した、

リリアさんを誰にも

見つけて欲しくなかったのかしら」

 アリアは現場を思い出す。

「現場に残っていたものは、ほとんど何もなかった」

 けれど。

「私のハンカチだけが残されていた」

 アリアは自分の胸元に手を当てる。

「私が三日前に失くしたもの」

 カイルを見る。

「私に疑いの目が集まるのも、分かりますわ」

 性格の悪い悪役令嬢。

 リリアさんとの関係。

 周りの評価。

「犯人からすれば、これ以上ないほど都合がよかったでしょうね」

 アリアは笑う。

そしてーー。

「私は、すぐ隣で捜査の進展を話していましたもの」

 カイルは黙っている。

「あなたはそれを聞いていた」

「…………」

「あたかも仲間だと偽って」


 カイルの顔から。

 完全に笑顔が消えた。

「…………」
< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop