転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

2話 悪役令嬢、破滅回避ですわ!?

 魔法学園。

 アリアは教室へ向かう廊下を歩いていた。

 周囲の生徒たちは、アリアを見ると小声で何かを話している。

「……あれがアリア様」

「相変わらず怖いわね」

「リリアさんにまた何かするんじゃない?」

「最悪……」

「…………」

 聞こえている。

 全部聞こえている。

「性格悪い設定、ちゃんと引き継いでますわね……」

 前世の私は、人から「怖い」と言われることはあっても、ここまで露骨に嫌われたことはない。

 だが、今の自分は悪役令嬢。

 仕方ない。

 むしろ好都合だ。

 誰とも関わらなければいい。

 そう思っていた。

 その時。

「あの!」

 明るい声がした。

 振り返る。

 そこにいたのは――。

 桃色の髪。

 大きな瞳。

 天使のような笑顔。

「リリア……」

 名前が自然に出てきた。

 ゲームのヒロイン。

 リリア・フローレンス。

「おはようございます、アリア様!」

「…………」

 なんて眩しい。

 目が痛い。

「お、おはようございますわ」

「今日はいい天気ですね!」

「そうですわね」

「昨日の授業、難しかったですよね!」

「そうですわね」

「アリア様は――」

「そうですわね」

「まだ何も言ってませんよ!?」

「あら」

 しまった。

 適当に返事してしまった。

 リリアがくすくす笑う。

「アリア様って、思ってたより面白い方なんですね」

「……え?」

「なんでもありません!」

 そう言って彼女は走っていった。

 アリアはその背中を見送る。

「……いい子ですわね」

 ゲームのヒロインというだけあって、本当に嫌味がない。

 これを虐めろと言われても無理だ。

「私は絶対に関わらないようにしましょう」

 そう呟いた。

 ――数時間後。

 その決意は跡形もなく崩れ去ることになる。
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