転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

3話 悪役令嬢、殺人事件に巻き込まれますわ!?

 昼休み。

 校内に、けたたましい鐘が鳴り響いた。

「――緊急事態です!」

 教師が廊下を走っている。

 生徒たちがざわめく。

「何?」

「事故?」

「誰か倒れたの?」

 アリアも教室から顔を出した。

 そして。

 教師が叫んだ。

「旧図書塔で、生徒が一名――」

 一瞬。

 教師の声が止まる。

「……遺体で発見されました」

「…………」

 空気が凍った。

 アリアの胸が嫌な音を立てる。

 旧図書塔。

 生徒。

 遺体。

 その単語を聞いた瞬間。

 頭の中で何かが繋がった。

「……まさか」

 アリアは走り出した。

 教師の制止も聞かず。

 廊下を駆け抜ける。

 旧図書塔へ。

 そして。

 重い扉の前で足を止めた。

 扉の向こうから漂う――鉄臭い匂い。

 誰かが泣いている。

 誰かが叫んでいる。

 そして床には。

 赤い血が流れていた。

「…………」

 アリアは震える手で口を覆った。

 そこに倒れていたのは。

 桃色の髪の少女。

「……リリア?」

 ゲームのヒロイン。

 この世界の主人公。

 そして――。

 彼女の胸には。

 何本もの刺し傷が刻まれていた。

「…………嘘」

 アリアの顔から血の気が引く。

 その瞬間。

 背後から教師の声がした。

「アリア・フォン・ヴァルシュタイン」

「…………」

「あなたに聞きたいことがあります」

 床に落ちた血まみれの短剣。

 そのすぐ横。

 探検を隠すように置かれていた――白いハンカチ。

 薔薇の刺繍。

 アリア自身のもの。

「これは……あなたのハンカチですね?」

 アリアは絶句した。

 そして。

 前世で見た数々のサスペンスドラマが。

 頭の中を駆け巡った。

 ――第一話。

 まさかの。

 ヒロイン殺人事件。
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