高嶺の花も恋をしたい!
 少し遅れてビアガーデンに到着した俺は、会場を見渡し、入り口付近のテーブルにいた若田を見つけた。同じテーブルには三枝もいる。

 迷わずそちらの方へ向かいつつ、花緒がどこにいるかもチェックする。花緒はその斜め奥のテーブルで、女性に囲まれて座っていた。

 同期会という名の合コンに近いこの場で、現状では最も安全な場所にいることが確認できたため、ホッとしながら若田のテーブルに座った。

 数分もしないうちに、支店の女たちがわらわらと寄ってきた。予想はしていたけど、かなりうっとうしい。

 三枝と他の支店の男どもは喜んでいるようだが、若田と俺は違った。

「やばいよ。こんなに囲まれたら後で桃子に何を言われるか……」

 彼女持ちの若田が顔色を悪くして震えている。

 俺だって、花緒に誤解されたくない。
 この一週間、同居を始めてから初めて離れて過ごしたが、帰ってくるとどこかよそよそしさを感じた。

 元々人見知りだと自分で言っていた花緒だが、俺に対しても人見知りしているのだろうか。

 そう思うと、故意ではないにしろ、連絡が取れなかったことを恨めしく思う。

 こんな状況で、さらに女性に囲まれているところを見せるなんて、絶対に避けたい。

 俺は頃合いを見て、若田に持ち掛けた。

「抜け出すか? ……あっちに」

 目線で示したのは、花緒たちのいるテーブルだ。
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