高嶺の花も恋をしたい!
「花緒がプロポーズされたって話。それも二人から!」
「桃子! もう、誤解を招くような言い方しないでよ~」
「……誤解なのか?」
「う……誤解よ。ショールームでね、声をかけられたの」

 声をかけてきたのは80代の男性。
 妻に先立たれて、息子家族と同居している家をリフォームするため、ショールームを訪れていたらしい。

 その男性が、受付にいる花緒を見そめて「あんた、亡くなった家内の若い時に生き写しじゃ。わしの後添えに来てくれんかのう」と言ったのだと。

「後添えぇー!!」

 みな大笑いしている。

 たしかにその現場を想像すると笑える。それは明らかに、じいさんの口説き文句だとわかるからだ。

 第一、花緒がそのじいさんの奥さんに生き写しというのは信じがたいからな。こんな絶世の美女に似てるなんてありえない。

 だがまあ、それなら許容範囲だが……。
 
「当然その場でお断りしました。後添えなんてありがたい話だけど?」
「で? で? もう一つのプロポーズは?」
「それは……あの、東雲様の……ご長男よ」

 花緒は俺に向けて恥ずかしそうに言った。

 東雲邸と言えば、俺の指導係である五年先輩の設計士が担当する物件だ。たしか長男と言えば……。

「……5歳のガキか」

 東雲家の子供は5歳、4歳、1歳の男三兄弟。

「『みゆきせんせいとケッコンするつもりだったけど、おねえちゃんもかわいいね。おおきくなったらゆうくんとけっこんして!』と、とってもときめくプロポーズをされましたー。アハハ……」
「あのマセガキ……」

 そりゃかなりの年上好きだな! と若田が大笑いしている。
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