高嶺の花も恋をしたい!
 だがちょうどいい。ここではっきりと誤解を解いておけば、後々都合がいいじゃないか。

「ゴホッ……三桁も告られてないし、誰も食ってない」

 正しくは「告られた中の誰も食ってない」なんだが。花緒は食ったからな。

「へー、高野君って意外と硬派なんだ」

 意外とはなんだ、意外とは。

 斜め向かいから、山口が失礼なことを言ってくる。

「ふむ。硬派な高野君なら花緒のカレ候補にしてもいいかしら」
「そうねぇ……。私たちの花緒にふさわしいかも?」
「美男美女よね! 私もいいと思う!」

 生島の前に座っている総務の女までが、なぜか俺と花緒をくっつけようとしてきた。

「ちょっと……みんな勝手なことを……」

 花緒がさっきよりもさらにおどおどとうろたえている。

 一見、突然周りに俺をおすすめされて戸惑っているように見えるが、花緒は俺たちの同居がバレないかという点を心配しているのだろう。

 もちろんそれに気づいているのはこの中で俺だけ。

「高嶺さんはどう? 高野、こう見えて硬派だし、同期の中でも優秀だし、俺からもお勧めするよ」

 若田め……。気持ちはありがたいが、花緒を困らせないでやってほしい。

 だがおどおどしている花緒も可愛い。

「え、えっとー、た、高野君が困るんじゃないかな。突然そんなこと言われても、ね?」
「いや、困らないけど」
「へ?」

 何をこんなところで言い出すのだ、と焦りだす花緒。悪いが俺はもう大人しくしているつもりはない。

  実はこっちのテーブルへ移る前、隣の男どもが花緒の話をしているのを耳に挟んだ。

「ツンとしたイメージだったけど、高嶺って喋ったら意外と普通の子なんだよな。お客様の子供と遊んでくれたりして。小さい子に好かれる女っていいよな。俺ちょっときゅんとした」
「俺は自分より背の高い女の子、全然アリだけど? レッドカーペットの上をスーパーモデル侍らして歩いてるハリウッドスターの気分が味わえるじゃん」
 
 花緒のいい所を評価されるのは嬉しい。

 しかし花緒を侍らせる? なにがハリウッドスターだ。ムカつく!
< 115 / 237 >

この作品をシェア

pagetop