高嶺の花も恋をしたい!
 そう思っていると、花緒がポケットからスマホを取り出した。
 あのバカ! もう見ていられない!

「花緒」
「たぃ……高野君!」
「遅いから何しているのかと……なに、山村と話していたの?」
「あ、うん。ショールームのキッズコーナーのことで質問を受けていて。あと情報交換会に誘ってくれたの」
「フーン。情報交換会ねぇ……」

 俺がギロリと山村を睨むと、山村は一瞬ビクッと怯んだ。

「た、高野……なんだよ、今花緒ちゃんは俺と話しているのに」
「ハナオチャン?」
「な、なんか悪いか? 同期なんだから名前で呼ぶくらい、お前だって……」
「あの、高野君? どうしたの?」
「いや、他部署間の情報交換会ならぜひ俺も参加させてもらいたいと思ってな。勉強のためにも」
「はぁ? なんでお前が」
「俺が行っちゃ駄目なのか? 同じ同期なのに? ちょうど山村とも部署が違うし、情報交換出来るぞ?」

 山村は若田のいる第一営業部ではなく、第二営業部に所属している。

 物怖じしない態度の上に、口が達者な男なので、そこそこの成績を上げ始めているようだが、入社成績でも現在の成績でも若田の方が上。若田のような天性の爽やかさはなく、俺から見れば格下の男だ。

 こうやって見下ろせば、自然と俺との格の違いもわかるだろう。

「クッ……別にいいが……」
「じゃあ決まったら俺に連絡をくれ。花緒には俺から連絡するから」
「なんで高野が……」

 花緒の連絡先なんて教えるわけないだろう! と威圧的に睨みを効かせる。

「ウッ……わ、わかった。じゃあ、花緒ちゃんまた……」
「あ、うん、また……」

 すごすごとテーブルに帰っていく山村の後姿を見ていると清々した。
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