高嶺の花も恋をしたい!
 高野の話を聞きながら、私もせめて修士を取っていたら、今の状況ではなかったのだろうと思う。

 でもうちはとてもじゃないけれど、院に進みたいと言える状況ではなかったのだ。

 兄から年が離れて生まれた末っ子で、大事にされて育った自覚はあるけれど、そのおかげでキャリアを積むには恵まれた環境とは言えなかった。

 しかも料理研究家という仕事をしている母親にとって、女の子が建築学科に行くなんて、という偏見があったのだ。だから最初から大学院は諦めていた。

 それでも高野の話を聞いていると、やっぱり大学院に進みたかったと、改めて思ってしまう。

「へぇ~すごいね! それもう新卒の域超えてない? インターンで4年も勤めたら中堅の域だよ」
「たしかに。でも高野なら夏成じゃなくて、もっと上のスーゼネに行けたんじゃないの?」
「……今はハウスメーカーで学びたいんだ。まあ、いずれはどうなるかわからないが……」

 高野は夏成が終着点ではないの?
 いずれは独立を考えているのだろうか。そう聞くと寂しく思う。

「引き出しをいっぱい作っておくのって大事だもんな。今しかできないことだし」
「それにしても、やっぱり妹がいるんだ。なら末っ子の花緒と相性良さそうだね。だから放っておけないんでしょう?」

 突然私の話に飛ぶ⁉
 桃子がやたらとニマニマしている。
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