高嶺の花も恋をしたい!
「あ、おいっ、あまり飲みすぎるなよ。せっかく露天風呂がついてたのに、入れなくなるぞ」

 え? あの部屋付き露天風呂に入るの? まさか……一緒に?
 そりゃ何度も一緒にお風呂に入ったことはあるけど、露天風呂は……。

 今日の私は、高野にドギマギさせられてばかりだ。

 ただでさえ、湯上りで浴衣姿の高野は色気が半端なく、給仕してくれる仲居さんも、顔を赤らめているくらいなのだ。

 私は食事の間、ずっとドキドキしっぱなしだった。

 ふわふわした気分で部屋に戻ると、さっきまで見えていた彦根城が消えていた。ライトアップの時間が終わってしまったのだろう。

 少し残念な思いで窓の外を見ていると、高野が言った。

「花緒、部屋の露天風呂に入ってこいよ」
「え、でも……」
「せっかく露天風呂付きなのにもったいなくないか?」
「……太一くんは?」
「俺はちょっと……やることがあって」

 どうして? 一緒に入ろうとは言わないの? お風呂なんて今まで何度も一緒に入っている。お風呂でいたしちゃったことももちろんあるし。

 でも今の高野の様子からは、一緒に入るという選択肢はなさそうだ。

 やっぱり私、避けられているの?

 琵琶湖ドライブに連れてきてもらって、高野の博識ぶりや優しい気遣いに触れて、一日中ドキドキしていたのに、それは私だけだったのか。

 そもそも、高野とはセックス込みの同居人という関係であって、恋人同士ではない。その立ち位置をまた思い出す。

 今日はあまりにも優しくて甘くて、いつの間にか私は期待してしまったのかもしれない。

 この優しさは特別なものなのだと。少しは私にセフレ以上の好意を持ってくれているのではないかと……。
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