高嶺の花も恋をしたい!
 確かにそうだ。私は会社に設計士として求められているわけではない。

 今の言い方は、完全に私のミスだ。

「すみません……。でも、私が秘書の仕事をできるとも思えません。秘書検定も受けていませんし……」

 秘書なんて考えたこともなかった。私には縁のない仕事だと思っていたし、到底務まるとも思えない。

「まあ、ちょっと落ち着きなさい。そして話はちゃんと最後まで聞くこと」
「……はい」
「さっきの話の続きね。4月から新しい副社長が就任されるの。人事発表がまだだから、この話はオフレコでお願いするわ」

 人事課長の話によると、新副社長は、一般的なスケジュール管理をするだけのような秘書を求めていないという。

 設計の基礎知識があり、助手として仕事を手伝える者を傍に置きたいと。

「設計部の若手を考えていたんだけど、副社長自ら……いえ、えーっと、だからね、高嶺さんならちょうどいいと思ったのよ。設計の基礎知識はもちろんあるだろうし、秘書としての見栄えもね。それに、あなたにとってこれは悪い話じゃないと思うの。多くは言えないけど、新副社長は若いのにいくつもの物件を手掛けられていて、指名が入るような方なの。まあ、そこは会えばわかると思うけど」
「はあ……」
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