高嶺の花も恋をしたい!
 その後、システム情報部から秘書用のパソコンが届き、パスワードの設定が終わると、仲野さんの指導が始まった。

「よし、じゃあとりあえず私たちが普段常務から頼まれる内容を教えておくわね。副社長が就任されたら、あとは直接指示に従ってもらえばいいと思う」
「はい!」

 その三日後のこと、出勤すると副社長室に人影が。

 全面ガラス張りのバックを背に逆光になっていて、顔が見えにくいけれど、ここにいるってことは……。

「おはようございます……あの……?」
「あ、花緒ちゃん?」

 え? 突然の花緒ちゃん呼び⁉

「来週から副社長に就任する夏崎翔多です」
「ハッ……た、高嶺花緒です! 三日前から副社長秘書としてこちらでお世話になっております。秘書業務は全くの未経験ですが、頑張りますのでよろしくお願いいたします!」

 私は最敬礼で挨拶をした。

「ハハハ、そんなに畏まらなくてもいいよ。頭を上げて?」
「は、はい……」

 こちらに近づいてきた副社長は、長身ですらっとした体格に一目でわかる上質なスーツを着ていた。

 意志の強そうな切れ長の目に、鼻筋の通った男性らしいお顔。眼鏡をかけていても隠せないくらいのとんでもないイケメンだ。

 もちろん私には高野の方が好みだけど……いや、どこか高野に似ている?

 自信に満ちた男性らしいところが似ているのかな。

 なぜか副社長の顔に既視感があるのだ。本当に会ったことがある気がするのだけれど、どこで会ったのか思い出せない。
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