高嶺の花も恋をしたい!
「……花緒ちゃん知ってる?」

 副社長が確認するようにチラッと私を見た。

「は、はい。鎌倉時代から続く建設会社の、あの丸高組ですよね?」

 丸高組と言えば、多くの宮大工を抱えていることでも有名だ。主に神社仏閣の設計から施工に、文化財建造物の復元や修繕を手掛けている。

 近年は神社仏閣にもコンクリート建築が増加したため、時代のニーズに合った建築にシフトしつつも、伝統を守り続けているとか……。

 就活中に調べたので、そのくらいの一般的な知識ならある。

「……なるほどな。で、なぜうちなんだ? それならリノベーションも丸高組に……」
「それが……僕自身、個人的に柏原家と繋がりがあって、今回はぜひうちにと頼まれたんです。まあ、有形文化財に指定されている建物のほとんどは、地域の活性化のためにリノベーションしますが、今回の柏原家の場合は、個人が住むためだということもあると思います」
「ふむ……柏原家の現在の住まいは?」
「現当主は御年81歳。近くのタワーマンションに移られていているのですが、最期は生まれ育った屋敷に戻りたいと希望されています」

 なるほど。生まれ育った我が家に戻りたいという当主のお気持ちはわかる。

 そして、住まい造りという点で夏成ハウスを選ばれたのだろうということもわかった。

「なるほど、現地を見に行ってみないと何とも言えんな。うちだけで手に負えるのか。申請のこともあるし」
「そう言うだろうと思ってました。あちらはいつでも下見に来てくれて大丈夫だと言っています」
「そうか。丸高には……」
「そっちも話は通してあります。棟梁はやってみればいいと言ってくれました。担当者も勝手に使っていいと……」
「まあそう言うだろうな」

 これは田村部長が『どえらい仕事』といった意味が分かる。
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