高嶺の花も恋をしたい!
「親父は早くから音楽の方面で頭角を現していた。だが、丸高組棟梁は代々高野家の長男が世襲してきた。音楽の道へ進むなんて、前代未聞だったんだ。もちろんじいさんも、当時はまだ健在だった曾祖父も反対した。ところが当時親父の許嫁だった夏崎久子、つまり俺の母親だけが親父を後押しした。『私が理一の代わりに跡を継ぐから、理一には好きな道を歩ませてほしい』と言い出したんだ」
「お母様が⁉」

 嫁ぎ先の家業を自分が継ぐから、旦那さんには好きな道へ行かせてやってほしいなんて、お母様、男前すぎる!

 え、待って……なつさきひさこ? 夏崎……?

「母親は夏成ハウスコーポレーションの創業者一族の出だ。夏成の現社長は兄になる」
「……ということは、副社長は」
「俺の従兄だ。このマンションの最初の住人」

 ちなみに、このマンションの所有者だというおじい様は、夏崎家のおじい様、つまり夏成の現会長ということだった。

 ひぃ……知らずに会長のマンションに住んでしまっていたなんて、恐ろしすぎる。

 それはさておき、副社長が従兄ということの方が気になった。
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