高嶺の花も恋をしたい!
こんな話をしても、普通の女なら全く興味を持たないだろうが、一級建築士を目指している花緒だからこそ関心を持ってくれるのだろう。
「前に、母親が手をケガしたことがあっただろう?」
「うん、昨年の9月頃の話よね?」
「あの時、母親が腕を固定している間だけ、俺が代わりに現場に入っていたんだ。と言っても俺に墨付けの技術はないから、現場で母親の指示通り右手の代わりをしていただけなんだが。それがとんでもない山奥の神社の補修で」
「――! それで圏外だったの?」
「ああ、その一帯は全く電波が入らなかった。まさかのWiFiもないし」
あの頃はまだ関係を改められていなかったし、実家のことも話していなかったから、詳しく言えなかった。
花緒はしきりに「そうだったんだー」と納得してくれているが、やはりもっと早くに話しておくべきだったと思う。
だが、俺が実家のことを言えなかった本当の理由は、他にあった。
「……母親は、墨付け師として現場で仕事をしていたが、棟梁の座は固辞したんだ」
「それは……女性だから?」
「前に、母親が手をケガしたことがあっただろう?」
「うん、昨年の9月頃の話よね?」
「あの時、母親が腕を固定している間だけ、俺が代わりに現場に入っていたんだ。と言っても俺に墨付けの技術はないから、現場で母親の指示通り右手の代わりをしていただけなんだが。それがとんでもない山奥の神社の補修で」
「――! それで圏外だったの?」
「ああ、その一帯は全く電波が入らなかった。まさかのWiFiもないし」
あの頃はまだ関係を改められていなかったし、実家のことも話していなかったから、詳しく言えなかった。
花緒はしきりに「そうだったんだー」と納得してくれているが、やはりもっと早くに話しておくべきだったと思う。
だが、俺が実家のことを言えなかった本当の理由は、他にあった。
「……母親は、墨付け師として現場で仕事をしていたが、棟梁の座は固辞したんだ」
「それは……女性だから?」