高嶺の花も恋をしたい!

 実家での話し合いの前に、俺は翔多へ連絡を入れた。

「特定できたのか?」
「ああ、案の定だった。犯人は俺の元秘書だ」

 翔多が東京支社で専務をしていた間、傍に置いていたのは男性秘書だった。

 夏成では、基本的に役員秘書は男性に限られている。もちろんスキャンダルを避けるためだ。

 だが、ずっと専属だった秘書が家業の農家を継ぐため田舎へ帰ることになった。

 本来なら男性秘書を選出しなおすところが、本社への転勤が三か月後に迫っていたため、急遽秘書課の女性秘書を専属にする案が持ち上がり、それを受け入れたのだ。

 この秘書が問題だった。

 一般女性秘書からの拾い上げが極めて稀な中、自分が選ばれたということで、勘違いしてしまったのだ。

 翔多に対してストーカーレベルの執着心を見せ、妻のように振る舞い出した。

 これが翔多の言っていた、手抜きの結果だ。

 横着なことをせず、ちゃんと男性秘書を選びなおせばよかったと後悔したときには遅かった。ストレスはMAXで、大阪へ連れて行ってほしいというその女を振り切り、逃げるように大阪へ来たらしい。
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