高嶺の花も恋をしたい!
「花緒ちゃん、昨日の申請書類だけど」
「ハッ……はい! 今日、もう一度見直すつもりで」

 そうだ、仕事よ。出勤したからには仕事をしないと!

 書き方を教えてもらって、副社長にも確認してもらった申請書類。それを役所に持って行ったところ、事も無げに突き返された。

 理由もわからず持ち帰り、何度も見直したけれど、どこをどう間違えているのか、見当もつかなかったのだ。

「見直さなくていいよ。あれ、そのままもう一度持って行ってくれる?」
「え? でも……」

 そんなことしたらまた突き返されるだけ。私、そこまで心臓が強くないんだけど……。

「いいから行ってきて。アドバイザーさんと一緒にね」
「アド……ええっ⁉」

「行くぞ花緒、早いところ提出してしまおう」

 高野が私の腕を掴んで貸会議室を出ていく。
 廊下では今話題の二人が揃って歩いているので、皆振り返って私たちを見ていた。

「ね……離して。ちゃんとついて行くから」

 腕を組んでいるようなこの状態では目立ってしかたない。

 幸いにも高野はすぐに腕を離してくれて、私たちは地下駐車場まで黙々と歩いて行った。

「乗って」

 久しぶりに乗る高野の車だ。でも以前と違って後部座席が雑然としている。

「悪い。片付ける暇なくて……」
「……ううん、大丈夫」

 今まで車や部屋が散らかっていることなんてなかった。それだけ過酷で、忙しい日々を過ごしていたってことなんだろう。
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