高嶺の花も恋をしたい!
「ありがとうございます。今後は私、高野と、この高嶺が担当させていただきますので、よろしくお願いします」
「わかりました。ところで棟梁はお元気で?」
「……はい、ぼちぼち元気にやってますよ。後進の指導に力を入れてますね」
「まあこんな立派な後継ぎがいるなら、棟梁も安心でしょう! 早く跡を継いでおじいさん孝行しないとね」
「ハハハ……精進します」

 こうして昨日突き返された書類は、そのままの状態で受理された。

 帰りの車に乗りながら、ふつふつと怒りが湧いてくる。

「信じられない……中身は全く変わってないのに……」
「そういうものなんだ。あの人たちは、中身より信用で判断するから」
「信用……」

 つまり夏成ハウスに歴史的建築物の修繕を任せるのは不安があるということか。
 少々理不尽だと思うけれど仕方ない。

 私はあらためて丸高組の威力を知った。

「気が悪いよな……夏成の者にとっては」
「それは……仕方ないよ。ただの建築物じゃないんだもの。専門的知識への信用は丸高組に敵わないわ」

 きっと、どちらの名刺も持っている高野の立場では複雑な思いがあるはず。

 この人は一体いくつの責任と信用を背負っているのだろう。

 四つしか違わないのに、私にとって高野の存在は、大きくそびえる山のようにとても大きかった。
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