高嶺の花も恋をしたい!
「秘書課に若い男性秘書がいるだろう? その人は副社長秘書にする予定で総務から秘書課に引っ張ってきた人なんだ」
「氏家さんが!?」
「多分その人。ただ、設計に関する知識はほとんどないって言ってたな。人柄で選んだらしいから」

 頭の中に、氏家さんのほわっとした誠実そうな笑顔が浮かぶ。
 
「でも、じゃあ……私がその席を奪っちゃったってこと?」

 それは申し訳ない。

「いや、本人はそういう経緯を知らないはずだから問題ないだろう」
「そっか……」

 それでも私が氏家さんの一年を奪ってしまった気がするんだけど、でもそれは今言わないでおこう。

 良かれと思って副社長がしてくださったことだ。引き抜いてくれなかったら今でもまだ受付にいたかもしれない。
 それに一年と決まってるなら、少し気が楽。

「京子さん、シリーズで出ている映画の撮影が続いていて、中国に行っている期間が長くてさ。やっと完結したタイミングが今だったんだ」

 あの大人気映画か……と想像がつく。

 でも副社長はずっと京子さんを待たれていたのね。あの歳まで独身だった理由がやっとわかった。
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