高嶺の花も恋をしたい!
 まあそうだろう。顔やスタイルのせいで大学時代に学んだことの全てが無駄になったのだ。俺も怒って当然だと思う。

 これってまさに……

「こんなの、ジェンダーハラスメントじゃない!」

 それだ。そして、上からの押し付けはパワハラでもある。

 ただ、人事部長も大変なんだろうと思う。花緒が言われたように、もし花緒が辞退すれば、二番目のレッテルを貼られた女子社員が受付に立つことになる。

 仮に最初からその二番目を受付に選んでいたとしても、なぜ花緒を選ばなかったのかと社内外から問われることになるだろう。

 要するに、この一年はなんとか花緒をなだめて受付に立ってもらうしかないのだ。

 花緒にとっては会社の事情など知ったことではないだろうが。

 だが花緒自身、今さらほかの会社へ行けないこともわかっている。あと数日で入社式を迎えるのだから。

 それでも今日だけは怒りや落胆を発散せずにはいられないだろう。

 ぶつぶつと愚痴を言い続ける花緒に同調し、彼女が闇を吐き出す手伝いをしていると、あっという間に時間が経った。

 ハッピーアワーの終わったビアバーを出て、既に3軒目。
 甘いベルギービールから巨峰サワー、カルピスサワー、シャインマスカットサワーと杯を重ね、3軒目のワインバーでは甘いスパークリングロゼを気に入ったようだ。いかにも辛口のシャルドネを好みそうな外見で、意外な甘党ぶりだ。

 そんな見た目とのギャップをついつい可愛いと思ってしまう。
 いや、俺は純粋に同期としてやけ酒に付き合っているだけなのだが。

 花緒は完全に出来上がってしまっていた。
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