高嶺の花も恋をしたい!
もちろん私も違う意味で安堵していた。しゃがみこんだ時に、痴漢男とAirPods男の位置が入れ替わったからだ。
その後、何事もなかったかのように車内は落ち着き、次の乗換駅に到着した。
吐き出されるように電車から降りていく人の波に、おそらく痴漢男だろうと思われる男を見つけた。
頭が少し薄くなり始めた40代前半のサラリーマン男性だった。きっと妻子もあるだろうに、なぜあんなことをするのかと不快に思っていると、突然後ろから声がした。
「大丈夫だったか?」
その声の主はあのAirPods男だった。
「悪い、この後外せない用があって現行犯逮捕に持っていけなかった」
「え? あ……!」
この人痴漢行為に気づいていたのか!
まさかあれが自分を助けるための演技だったとは思っていなかったのでたいそう驚いた。
「いえっ! 助かりました。実は私も今日は問題を起こせなくて……あのまま耐えるしかないと思っていたので」
「次からは隣の車両に乗れよ」
そう言って、ホームに描かれた女性専用車両のピンクのレーンを指す。
「はい。気をつけます。あの、ありがとうございました!」
「いや、じゃあな。悪いけど急ぐんだ」
本当に急いでいるのか、男は足早に改札を出ていった。
最悪な朝だと思ったけれど、救世主の登場で、むしろ幸先がいいような気がしてきた。
そうして、私は本当に、夏成ハウスコーポレーションの内定を勝ち取ったのだ。
その後、何事もなかったかのように車内は落ち着き、次の乗換駅に到着した。
吐き出されるように電車から降りていく人の波に、おそらく痴漢男だろうと思われる男を見つけた。
頭が少し薄くなり始めた40代前半のサラリーマン男性だった。きっと妻子もあるだろうに、なぜあんなことをするのかと不快に思っていると、突然後ろから声がした。
「大丈夫だったか?」
その声の主はあのAirPods男だった。
「悪い、この後外せない用があって現行犯逮捕に持っていけなかった」
「え? あ……!」
この人痴漢行為に気づいていたのか!
まさかあれが自分を助けるための演技だったとは思っていなかったのでたいそう驚いた。
「いえっ! 助かりました。実は私も今日は問題を起こせなくて……あのまま耐えるしかないと思っていたので」
「次からは隣の車両に乗れよ」
そう言って、ホームに描かれた女性専用車両のピンクのレーンを指す。
「はい。気をつけます。あの、ありがとうございました!」
「いや、じゃあな。悪いけど急ぐんだ」
本当に急いでいるのか、男は足早に改札を出ていった。
最悪な朝だと思ったけれど、救世主の登場で、むしろ幸先がいいような気がしてきた。
そうして、私は本当に、夏成ハウスコーポレーションの内定を勝ち取ったのだ。