高嶺の花も恋をしたい!
 それからあっという間に1週間が過ぎた。

 正直なところ、受付なんて立っているだけだと思っていたけれど、意外なくらいするべきことが多くて、先輩方から教えてもらうことが多岐にわたった。

 この多岐にわたる業務内容の最大の原因は、夏成の受付が二箇所あることだ。

 一つは本社オフィス棟の受付。そしてもう一つは本社ビル1階の一部と2階のほぼ全域を占めるショールームの受付だ。

 ここには毎日多くの一般のお客様が、住まいづくりのイメージを体感するために来館される。

 オフィス棟の会社関係の訪問客とは全く違うお客様なので、覚える対応ももちろん違ってくる。

 どちらであっても業務内容を教えてもらえればすぐに理解できるし、実践にも移せた。

 ただ、お客様の所属や役職、それに世にあふれる北山さんに北村さんに北川さんといった、似た名前を覚えるのが結構大変で、私はいつも混乱していた。顔を見ただけでお名前と訪問先がすぐに出てくる先輩方を心底尊敬する。

 自分がやりたかったこととはかけ離れているけれど、前向きに仕事をこなせたのは、ショールームの受付が楽しかったからというのもあるだろう。

 かつて実家のマイホームづくりの際にワクワクしていた気持ちが、お客様の顔にも見て取れるからだ。

 そして、仕事とは別に、私は週二回の夜間専門学校にも通い始めた。

 学科は何とかなりそうだけれど、実技特訓は毎日続けないと今のままでは厳しい。

 毎日仕事が終わると一目散に家へ帰り、資格取得のために勉強する日々だった。

 そんなある日のこと、いつものようにショールーム受付に立っていると、小柄な女性社員が脚立を持ってやって来た。
< 41 / 237 >

この作品をシェア

pagetop