高嶺の花も恋をしたい!
「ここのポスター貼り替えるわねー」
「あ、早苗! 紹介するわ。うちの新人なの」
「高嶺花緒です。よろしくお願いします」
「あら、噂の新人さんね」

 噂って何? 怖い怖い。

「広報宣伝部の野本早苗です。この辺りのポスターの貼り替えとか、このラックの冊子を補充しているの。ショールームにはよく来るからよろしくね。春香……山下さんの同期よ」
「こちらこそよろしくお願いします」

 野本さんは、三段の脚立を壁面に置き、ポスターを外し始めた。

 ところが、脚立に乗っても上部に手が届かないため、ポスターが途中でぺりっとちぎれてしまい、セロテープで貼った端が変に残ってしまった。

「ありゃ……うーん、届かないじゃんこれ……」
「あの……私が取りましょうか?」
「え、ほんと? 助かる~」

 このままでは野本さんが脚立から落ちてしまいそうで、見ていてはらはらした。

 近づいて野本さんの隣に立つと、身長差が20㎝以上あることに気づく。

 野本さんの身長はおそらく150㎝前後。脚立の二段目に足をかけてやっと私の身長を超えるくらいだ。
 私は一段目に足をかけて体を伸ばすと、難なく壁に残ったポスターの残骸を取り除くことができた。

「いいなぁ。それだけ身長があると格好いいし、便利だよね」
「……大女なだけですよ。でもお役に立てて良かったです。随分と高い位置に貼るんですね。新しいポスター、貼りましょうか?」
「本当? じゃあお願いしようかな。いつもなら五段を持ってくるんだけど、使われていたのか見当たらなくて。三段しかなかったのよね」

 なるほど。五段の脚立なら上までちゃんと届いたのだろう。

 私は新しいポスターを持ち、脚立の一番上にセロテープの台を置いてポスターを貼り始めた。

 野本さんはすっかり私にポスターを任せてしまって、同期の山下さんと話を始めてしまった。

 まあ、今お客様もいないし別にいいんだけど……。
 
「お前……何やってるんだ?」
「え? (ゴトン)キャッ!」
 
 突然真後ろから男の人の声がして驚いた私は、脚立の上にのせていたセロテープの台を落としてしまい、拾おうとしてバランスを崩してしまった。

「おいっ」

 とっさに支えてくれた人を見上げると、それは高野だった。
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