高嶺の花も恋をしたい!
「ご、ごめんなさい……びっくりして」
「……悪かった、突然話しかけて」
「あ、も、もう大丈夫」

 ずっと腕と腰を支えてくれていたのは有り難いけれど、妙に気恥しい。あれから高野に会うのは初めてだったから。こんなに密着しているとどうしても意識してしまう。

「高嶺さん! 大丈夫?」
 
 セロテープを落とした音に気づき、野本さんが駆け寄ってきた。

「大丈夫です。セロテープ台を落としちゃっただけで……」

 床にはテープの輪っか部分が外れてしまった台が横になっていた。

 壊れていないか心配になり、私は慌てて拾い上げた。

 ホッ……ただ外れただけだったわ。

「これ、高嶺の仕事なんですか?」
「え?」

 なぜだか高野が野本さんに怒っている……?

「ああ、私がすることなんだけどね。その……身長がこれだから、上まで届かなくて。高嶺さん、高いから代わってくれたの」
「そ、そうなの。全然大したことじゃないし、今お客様もいないし!」
「だとしても、隣に付いているべきじゃないですか」
「そ、そうね。ごめんなさい高嶺さん」
「いや、ホント、全然……」
「お前はもうするな。俺がする」
「え」

 そう言って、高野は私からセロテープを取り上げ、さっさとポスターを貼り終えてしまった。

 周りには気まずい空気が流れている。

「ほかにはありませんか?」
「きょ、今日は、これだけです……」

 わぁ……野本さんの方が先輩なのに、怯えさせてしまっているよ。

「次からは高嶺に頼むにしても、隣に立つとか、パーティションを立てるとかしてください」

 パーティション?
 私の頭にも、野本さんの頭にもパーティションという言葉に「?」が浮かんだ。
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