高嶺の花も恋をしたい!
「……そうか。まさか感謝されているとは思わなかった。でも花緒はあれで満足なんだ?」
「へ?」
「まだ扉を開けただけじゃないか。初体験は済ませたことになるだろう。だがその先は知らない。それでいいのか?」
「な、何を言ってるの……」

 何言ってるんだ、俺は。

 だがこのままで「感謝」で済まされてしまう。それはダメだ!

 明らかに動揺して周りをうかがう花緒に、俺はさらに畳みかけた。

「あんな、開通しただけのセックスで満足なのかと聞いてる」
「ちょ……大きな声でやめてよ」
「もっと先を見てみたくないか?」
「な……」

 顔を赤らめて手で覆う花緒。
 ここで逃すつもりはない。

「見せてやるよ、俺が」
「――! で、でも……太一くんは誰とも付き合わないって……」
「必ずしも付き合わないといけないわけじゃないだろう?」
「……それって、体だけの関係ってこと?」
「まあ、花緒が望むならそういう選択肢もあるけど、俺はちゃんと付き合っ……」
「いいの?」
「は?」
「体だけでも、いいの? セ、セフレっていうのかな、そういう関係。その……いろいろと、教えてくれる?」

 上目遣いにもじもじと花緒が聞く。
 ――期待に満ちた目で。

 俺はあの夜、花緒の欲に気づいていた。至極素直で従順すぎる振る舞いでありながら、花緒は俺から貪欲に性の知識を吸収しようとしているのだと。

 だからこの食いつきも想定内と言えば想定内だった。

 ゴクッと喉が鳴る。
 俺が、花緒を満たしてやりたい。もう一度この美しい顔を快楽に歪ませたい。そして女として自信を持たせてやりたい。

「……教えてやる。俺が鑑賞用じゃないって証明してやるよ」


 ◇ ◇ ◇
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