高嶺の花も恋をしたい!
「そ、そういえばここってとても便利で立地がいいし、3LDKと広くて……ひょっとして以前はルームシェアしていたとか……」

 築年数は経っているけれど、どうみても分譲貸しだし、元カノと同棲していたんじゃ……。

 高野は同居に慣れているのだろうか。

「いや、ここは祖父の持ち家なんだ。元々は従兄が住んでいて、その後を俺が引き継いで住んでいる」
「そ、そうなんだ。でも、じゃあやっぱり勝手に住めないよ」

 おじい様の持ち家に勝手に住むなんてできないし、それにやっぱりセフレと同居はありえない。
 高野に彼女が出来たりしたら、私は住むところを失ってしまうのだから。

 丁重にお断りして帰ろうとしたのだが、今日は予定がないからと車で私のアパートまで送ってくれることになった。

「おい……まさかこれか?」

 高野が私のアパートを見て驚いている。
 さっきまでいた高野のおじい様のマンションと比べているのだろうか。

 そりゃあんな立派なマンションとは比べものにならないけど、ここだって住めば都なのよ?

「ここ、築何年だ?」
「たしか……40年ちょっと? 50年は経っていないと思う」
「昭和……? ハッ! アスベストは⁉ これ軽量鉄骨だろう?」
「使われてない。さすがにそこは確認済みだよ。安いし、私の部屋は二階だし、これでも学生に人気の物件なのよ?」

 住居部分のリフォームは10年ごとにしているらしく、レトロな外観とは違って、中は結構キレイなのだ。

 それに学生中心ではあるけど、家賃が破格なだけに院生やオーバードクターの人も残っていて、年齢層が高めなところも気に入っている。

「……いくらなんだよ、家賃」
「共益費込みで二万五千円。バストイレ別の1K。洗濯機は外にしか置けないけど、特に不自由はないし」

 個人的には最高の物件だと思って住んでいる。

 しかし高野は眉間にしわを寄せたままアパートを見つめていた。
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