高嶺の花も恋をしたい!
「ちょうど良かったじゃないか。やっぱりうちに引っ越してこい」
「太一くん……!」

 そうだ、太一くんに全て聞かれていたんだった。

「うちなら家賃はいらない。どうしてもというなら光熱費だけ折半してもいい。大阪市内で今の家賃と同等の所なんて見つかる可能性ゼロだぞ」
「う……で、でも……そんな迷惑は」
「平日は俺も忙しくて、ほとんど夜中に帰って寝るだけだ。朝は早くに行ってジムを使っているし。顔を合わせることも少ないだろう」
「ジム……」

 夏成の本社ビルにはフィットネスジムが入っている。社員は社員価格で利用することができ、24時間使用可なのだ。

 なるほど……あの素晴らしいシックスパックはそうやって維持されていたのか。ホント、芸術的な体なのよ……って、私ったら何を考えてるのよ! 問題はそこじゃない。

「わかったなら今日から少しずつ荷物を運ぼう」

 そう言って、高野は私が妄想している間に階段を上がっていってしまった。

 私の部屋は必要最低限のものしか置かれていない。

 一番大事なのは製図机。ゼミの先輩から譲り受けたものだ。

 一級に合格したら自分へのご褒美に新品の机を購入する予定だけど、今はこれで頑張っている。

 部屋は四畳半と狭いので、後は折り畳み式のちゃぶ台とハンガーラックだけ。

 お布団はもちろん押し入れの中だ。ベッドなんておける場所はどこにもないから。

 あまりにもシンプルな部屋で、女子度0%だと思う。そんな部屋だからか高野はさっきから一言もしゃべらない。呆れているのかな?
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