高嶺の花も恋をしたい!
「えっと……あまり人を招いたりしたことなくて。お、お茶でも入れようかな……」

 もてなせるようなお茶なんてうちにあるかしら。

「いや……別に喉は乾いていないからいいよ。……いい部屋だな」
「え?」
「真面目に建築士を目指しているのが伝わってくる」
「……! そ、そうかな。本当に何もない部屋でしょ? この製図机がギリギリ置けるだけの部屋だからね」

 部屋の半分以上を、この製図机と本棚が占めていて、装飾は一切なし。

 全く可愛げのないこの部屋を、いい部屋だなんて言ってくれるのは、高野くらいのものだろう。

 考えてみれば、さっきからずっと立っているのは、この部屋に座る場所がないからだった。

 お茶なんて探さずに、さっさと外へ出てしまった方がいい。そう思っていると……

「この辺りの本は全部持って行った方がいいな。俺が運ぼう。花緒は服をまとめてくれ」
「え……ちょっと、本当に今から引っ越すの?」
「当たり前だ。遅くなればなるほど、落ち着いて勉強する時間が減るぞ」
「うっ……」

 確かにそうなんだけど、私はまだ同居をOKした覚えがない。

 それに、11月までここに住めるんだけどな。
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