高嶺の花も恋をしたい!
翌朝起きると高野はすでに出かけた後だった。
おそらく会社のジムへ出かけたのだろうと思っていたけれど、昼過ぎになっても帰ってくることはなかった。
いつもなら、出かけるにしても、一言声をかけてから出かけるのに……そう思ったけれど、高野が私に行先を告げる義務はないと思いなおす。
やっぱり、誰かと会っているのだろうか。
昨日の夜の落ち込みがまた私を襲う。
高野にはもうセフレが必要なくなったのだろうか。
憂々とした気持ちで、進まない製図を描いていると、メッセージを受信した。
高野からだ!
『悪い、連絡できなくて。母親が手をケガして、急きょ実家を手伝っている』
え! それは大変だ!
『大丈夫なの?』
『ああ、折れてるわけじゃないから。全治3週間くらいの軽いケガだ。ただ利き手だから何かと不便で』
『骨折じゃなくてよかった……。でも不便だよね』
『1週間だけ固定するらしい。その間は右手が動かせない。妹は留学中で親父も出張中だし、固定が取れるまでこっちにいるよ』
『わかった。お母様、お大事にね』
一家の主婦が手をケガすると家の中が止まってしまうのはよくわかる。以前母が珍しく熱を出した時は家族全員がオロオロとしたものだ。
それになによりお母様自身が不便だろう。家族がそばにいたほうがいい。