薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
それからは、別の意味で慌ただしかった。

正式に調査を進めるための書類や説明に加え、私がここで働くための就業関係の手続きまで始まった。

一つずつ確認して、書いて、また説明を聞く。

気づけば窓の外の陽射しはかなり傾き、時計は十七時を回っていた。

今日は本来なら、十二時から十八時まで倉庫で働いているはずだった。

なのに仕事を突然失い、その日のうちに次の仕事まで決めている。

人生って、こんな速度で変わるものだっただろうか。

「神宮寺さん」

突然、後ろから声を掛けられた。

「はい?」

振り返ると、いつ戻ってきたのか陸斗さんが立っていた。

「このあと、出掛けますよ」

「……どこへ?」

「買い物です」

「買い物?」

「八階の冷蔵庫、ほとんど何も入ってないでしょう。それに昨日持ってきたのは必要最低限です。日用品も足りないはずです」

確かに。

でも。

「だから、今から?」

「はい」

「……何でも突然言いますね」

思ったまま口にすると、陸斗さんが少し眉を上げた。

「そうですか?」

「そうですよ」

本人には、やっぱり自覚がないらしい。

「少し待っていてください」

そう言って奥へ消えた陸斗さんが、しばらくして戻ってきた。

その姿を見た瞬間、私は瞬きをする。

「……え?」

スーツではない。

シンプルな私服。

そして、眼鏡。

「何ですか、それ」

「変装です」

真顔だった。

「……変装?」

「一応」

確かに雰囲気は変わった。

でも。

「それ、要ります?」

「要ります」

「何でですか?」

「自分、目立ちますから」

一瞬、事務所が静まり返った。

次の瞬間。

「っ……!」

純さんが最初に吹き出す。

「陸斗、自分で言うの?」

聖子さんまで笑い始め、鈴子さんなんて完全に声を上げていた。

「だって本当でしょう?」

陸斗さんだけは真顔だ。

暢さんがパソコンの前で肩を震わせる。

「いや、そうなんだけどさ。本人が真顔で言うと面白いんだよ」

征さんまで口元を押さえている。

「先生。眼鏡掛けても、たぶんあまり変わりませんよ」

「征さんまで何ですか」

「事実です」

私ももう一度、陸斗さんを見る。

眼鏡。

私服。

一応、変装。

「……普通に目立つと思いますけど」

「神宮寺さんまで?」

思わず笑ってしまった。

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