薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――

第十二話 ――待って、本格始動って、その方向からですか?――

「……奏の、彼氏?」

未來の視線が、私と陸斗さんの間をゆっくり往復した。

驚いているのは分かる。

でも、その目は単純に友人の恋人を初めて見た時のものとは少し違っていた。

陸斗さんを値踏みするように見て、次に私を見る。そして、もう一度陸斗さんへ視線を戻す。

「えー、聞いてないんだけど。奏、いつの間に彼氏なんて出来たの?」

「え、いや――」

どうする。

恋人のフリ。

車の中でそういう設定にすると言われたけれど、付き合ってどれくらいなのか、どこで知り合ったのか、何と呼び合っているのか。

そんな細かいことまで何一つ決めていない。

聞かれたら三秒で破綻するんじゃない?

一瞬でそこまで考えた私より先に、陸斗さんが口を開いた。

「最近です」

「……はい?」

思わず見上げる。

誰が答えていいって言った。

未來はぱっと目を輝かせた。

「そうなんだ! じゃあ、まだ付き合いたて?」

「そうですね」

「陸斗さん」

小声で呼ぶと、腰に回っていた腕がほんの少しだけ強くなった。

「何?」

「……何、じゃなくて」

近い。

本当に近い。

しかも、どうして急に呼び捨てがこんなに自然なの。

「奏」

また。

「そんなに緊張しなくていい」

「……っ」

耳元近くに低い声が落ちる。

未來の前だから。

恋人のフリだから。

分かってる。

分かってるけど――。

この人、さっきまで「必要なら腕を組む」くらいの話じゃなかった?

何で開始早々、腰を抱いて、呼び捨てにして、耳元で話してるの?

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