薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「そして三人目が、新庄篤郎。私より四歳上で、就職した会社の先輩でした」

その名前を口にすると、さっきまでよりも記憶が近く感じられた。まだ一年ほど前のことだからだろう。

篤郎は仕事ができて、年上らしく落ち着いていて、分からないことがあれば教えてくれた。

それまでの二人とは違う。

社会人になった私が、自分で選んだ相手で、しかも未來とはまったく関係のない会社で知り合った人だった。

今度こそ大丈夫。

本気で、そう思っていた。

「その会社が、二年後に倒産しました」

「急だったの?」

聖子さんが尋ねる。

「多少噂はありましたけど……まさか本当に潰れるなんて思ってなくて」

仕事を失った。

でも、また探せばいい。

今までもそうしてきたのだから、何とかなる。

そう思おうとした。

ただ、あの時はさすがに疲れていたのだと思う。

「篤郎のマンションへ行ったんです。たぶん……話を聞いてほしかったんだと思います」

慰めてほしかったのか、大丈夫だと言ってほしかったのか。

今となっては、それすらよく分からない。

ただ、会いたかった。

そして、そこにいた。

「未來がいました」

誰も口を挟まなかった。

「二人は……説明されなくても分かる状態でした」

言葉を濁しても、意味は伝わる。

聖子さんの顔が、一気に険しくなった。

「また、その女なの?」

「聖子さん」

「だって所長、三人目よ?」

「分かってます」

茂樹先生も、さすがに苦笑すらしていなかった。

「浮気相手は、未來でした」

あの時の私は怒鳴らなかったし、泣かなかった。何で、と問い詰めることもしなかった。

ただ――またか。

不思議なくらい、それだけだった。

「私はそのまま出ました。篤郎にも未來にも、何も聞かずに」

「追ってこなかったの?」

「来ませんでした」

聖子さんの眉が、さらに寄る。

「それも今考えたら変なんですけど、その時は何も考えられなくて」

一刻も早く、その場所から離れたかった。

誰もいない、自分の部屋へ帰りたかった。

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