薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
第十三話 ――刺客は突然に! 待って、この距離感は普通ですか?――
あれから一か月。
梅雨も明け、街には容赦のない陽射しが降り注ぎ、本格的な夏がやってきていた。
外へ出れば、ほんの数分歩いただけでじんわり汗が滲む。
外出先から事務所へ戻った私は、建物へ入った瞬間、全身を包んだ冷気にほっと息を吐いた。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい」
最初に返ってきたのは、やっぱり陸斗さんの声だった。
自分のデスクで仕事をしていたはずなのに、私が荷物を置く頃にはもう近くまで来ている。
「外、暑かったでしょう」
「暑かったです。もう溶けるかと思いました」
「水分は?」
「飲んでますよ」
「本当に?」
「本当です」
最近、このやり取りにもすっかり慣れてしまった自分がいる。
一か月前。
いろいろな事情が重なって、陸斗さんが私の恋人のふりをした、あの日。
あれはその場限りのことだった――はずなのに。
なぜか、それ以降。
この人の距離感は元に戻るどころか、少しずつおかしくなっている気がする。
仕事中でも私の様子を気にしているし、外出すると言えば行き先と帰社予定を確認され、少し遅くなれば連絡まで入る。
最初の頃こそ、そのたびに「私は子どもじゃありません」と抗議していた。
でも最近では、周りまでそれを当たり前のように受け入れているから困る。
「陸斗、神宮寺さんが帰ってきただけでしょう。いちいち確認しなくても逃げないわよ」
純さんが呆れたように言う。
「確認しているだけです」
「それを世間では過保護って言うのよ」
「そうですか?」
「そうよ」
私は黙って自分のデスクへ向かった。
もういい。
ここで私まで何か言えば、また話が長くなる。
何より――こんなやり取りがすっかり日常になっていることの方が、問題な気がする。
梅雨も明け、街には容赦のない陽射しが降り注ぎ、本格的な夏がやってきていた。
外へ出れば、ほんの数分歩いただけでじんわり汗が滲む。
外出先から事務所へ戻った私は、建物へ入った瞬間、全身を包んだ冷気にほっと息を吐いた。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい」
最初に返ってきたのは、やっぱり陸斗さんの声だった。
自分のデスクで仕事をしていたはずなのに、私が荷物を置く頃にはもう近くまで来ている。
「外、暑かったでしょう」
「暑かったです。もう溶けるかと思いました」
「水分は?」
「飲んでますよ」
「本当に?」
「本当です」
最近、このやり取りにもすっかり慣れてしまった自分がいる。
一か月前。
いろいろな事情が重なって、陸斗さんが私の恋人のふりをした、あの日。
あれはその場限りのことだった――はずなのに。
なぜか、それ以降。
この人の距離感は元に戻るどころか、少しずつおかしくなっている気がする。
仕事中でも私の様子を気にしているし、外出すると言えば行き先と帰社予定を確認され、少し遅くなれば連絡まで入る。
最初の頃こそ、そのたびに「私は子どもじゃありません」と抗議していた。
でも最近では、周りまでそれを当たり前のように受け入れているから困る。
「陸斗、神宮寺さんが帰ってきただけでしょう。いちいち確認しなくても逃げないわよ」
純さんが呆れたように言う。
「確認しているだけです」
「それを世間では過保護って言うのよ」
「そうですか?」
「そうよ」
私は黙って自分のデスクへ向かった。
もういい。
ここで私まで何か言えば、また話が長くなる。
何より――こんなやり取りがすっかり日常になっていることの方が、問題な気がする。