薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「ずっと、私が男を見る目がなかっただけだと思ってたんです」

一人目も、二人目も、三人目も。

全部、自分の選択が悪かった。

そう思えば、終わる話だった。

でも、違う。

三人の向こうには、必ず一人の女がいる。

「髙橋耕史は未來が紹介した。深町淳二にも、いつの間にか未來が近づいていた。新庄篤郎の浮気相手も未來だった」

一つずつ口にすると、偶然という言葉がどんどん遠くなっていく。

「さすがに……おかしいですよね」

誰に問いかけたわけでもなかった。

でも茂樹先生は、すぐに「そうだ」とも「違う」とも言わなかった。

それが、逆に信用できた。

「今日、十二億円が入りました」

私は一度、自分の手へ視線を落とした。

茂樹先生が静かに頷く。

「だからって、急に強くなったわけじゃないです。お金があれば何でもできるとも思ってません」

むしろ今だって、何をどうすればいいのか分からない。

「でも……今まで諦めてたことに、向き合うくらいならできるのかなって」

ずっと、見ないことにしてきた。

考えないことにしてきた。

だって、考えたところで何もできなかったから。

でも今は、少なくとも相談することはできる。

調べることだってできる。

「全部、知りたいです」

茂樹先生の目が、まっすぐ私を見る。

「何を?」

「どうして三人とも未來が関わっていたのか」

胸の奥にずっと沈んでいたものが、少しずつ熱を持ち始める。

怒りなのか、悔しさなのか、それとも怖さなのか。

自分でも分からない。

「本当に偶然だったのか。それとも……」

そこから先を口にするのは、少し怖かった。

でも、もう逃げたくない。

私は一度息を吸った。

「坂梨未來が……意図的に、私の人生を壊していたのか」

初めて、はっきりと言った。

室内に静かな沈黙が落ちる。

やがて茂樹先生が、ゆっくりと頷いた。

「なるほど」

その声は、これまでと同じように穏やかだった。

けれど、目が違う。

優しく話を聞いてくれていた人の目から、弁護士の目へ変わっていた。

「やっと見つかったみたいだね」

「え?」

「ここへ来た理由」

その言葉に、私は少しだけ息を止めた。

法律事務所の看板を見た時、何を相談したいのかなんて自分でも分からなかった。

ただ、なぜか入ってしまった。

でも今は違う。

知りたい。

真実を。

そして。

「……もし、本当に私から何かを奪っていたなら……取り戻したいです」

自分でも驚くほど自然に、言葉が出た。

お金だけではない。

時間も、信頼も、誰かに勝手に歪められた人生も。

全部を元通りにすることなんてできない。

それでも、自分の人生をもう一度、自分のものにしたい。

「では」

茂樹先生が静かに姿勢を正した。

「ここからは、正式な相談として受けましょうか」

その言葉に、ほんの少しだけ緊張した。

今までとは違う。

本当に何かが動き始める。

「……お願いします」

私が頭を下げた、その時だった。

< 13 / 122 >

この作品をシェア

pagetop