薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「愛梨さん」

「はい」

「暢さんに、コーヒーのおかわりを頼んでください」

「分かりました」

愛梨さんは何の疑問も挟まず、そのまま事務所を出ていく。

私は扉を見送った。

……コーヒー?

今?

いや。

たぶん、違う。

この事務所に来てからというもの、普通の言葉に普通じゃない意味が含まれていることが多すぎる。

「父さんも征さんもいない。母さんは講演……」

陸斗さんが小さく呟く。

今日は茂樹先生も征さんも外出中。

鈴子さんも講演会で不在だ。

陸斗さんはもう一度画面を確認し、低く言った。

「向こうが動きましたね」

その言葉に、純さんが「あのさ」と口を開いた。

「陸斗。実は私の方でも、昨日から未來さんの動きを見てて、一件引っかかったのよ」

「昨日?」

思わず聞き返す。

純さんが、しまったという顔をした。

「……未來に何かあったんですか?」

「まあ、その……」

「私に関係してますよね?」

「……あるわね」

「やっぱり」

何となく分かっていたけど。

じっと純さんを見ていると、ちょうど愛梨さんが戻ってきた。

「私の方にも一件あります」

「何がですか?」

今度は純さんと愛梨さんが揃って微妙な顔をした。

その反応。

絶対、何かある。

「神宮寺さん」

愛梨さんが少し申し訳なさそうに笑う。

「あとで、ちゃんと説明します」

「……最近、その言葉が一番信用できないんですけど」

本当に。

この事務所で「あとでちゃんと説明します」と言われたあと、簡単な話で済んだ記憶がない。

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