薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
……何だろう。

ちょっとだけ安心した。

この親子に振り回されているのは、私だけじゃないらしい。

「あー、母さん。俺にも茶」

「はいはい」

聖子さんが普通に返事をして、大雅さんの分まで用意する。

この状況でも普通にお茶が出てくる。

本当に。

この事務所、何なんだろう。

そこへ、今度は静かに扉が開いた。

「騒がしいわねぇ」

聞き覚えのある声。

振り向くと、玲奈さんが立っていた。

「玲奈さん?」

「数日ぶり、奏ちゃん」

「何で玲奈まで」

陸斗さんはいないのに、なぜか私が聞いてしまった。

玲奈さんが笑う。

「茂樹先生から預かってた資料の続き。それと、うちでも坂上幹司の周辺を追ってたから」

その言葉で、空気が少し変わった。

坂上幹司。

両親が亡くなったあと、私の人生に関わった人。

どうして今。

未來の話をしている場所で、その名前が出るんだろう。

そして、さらに扉が開いた。

今度入ってきた女性を見て、私は首を傾げた。

帽子に眼鏡。

髪型も服装も普段とはまるで違う。

一瞬、誰なのか分からなかった。

大雅さんが開口一番に言う。

「遅い」

「仕方ないでしょ。こっちだって色々あったんだから」

その声。

聞き覚えがある。

女性が帽子を外し、眼鏡を取る。

「……紗凪さん!?」

「はい」

にっこり笑ったのは、友田紗凪さんだった。

大雅さんの奥さん。

普段の柔らかい雰囲気とは、まるで違う。

「全然分からなかったんですけど」

「分からないようにしてたので」

大雅さんが横から言う。

「こいつ、そういうの得意だから」

「そういうの?」

紗凪さんは何でもないことのように笑う。

「変装とか、尾行とか。人に気づかれず動くのは得意なんです」

「……また濃い人が増えた」

思わず呟いてしまった。

「何か言いました?」

「何でもないです」

聞かない。

もう。

この人たちの過去を一人ずつ掘っていたら、私の人生の方が先に終わる。

でも、紗凪さんが大きめのバッグをテーブルへ置いた瞬間、表情が変わった。

「坂上幹司の会社に、三週間ほど入っていました」

「……坂上先生の?」

胸の奥がざわつく。

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