薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
何度も歩いた廊下。

何度も入った資料室。

だから、この階についてはそれなりに知っているつもりだった。

ところが耀さんは資料室の前を通り過ぎ、その隣で止まった。

「こっち」

「……こっち?」

言われて初めて気づいた。

扉がある。

いや。

きっと前からあった。

ただ私は、完全に壁の一部だと思っていた。

認証が済むと、静かに扉が開いた。

そして中へ一歩入った瞬間、私は立ち止まった。

「……何、ここ」

聞いてない。

こんな部屋。

隣の資料室には何度も来ている。

それなのに、壁一枚を隔てたところにこんな空間があるなんて、今日まで少しも気づかなかった。

扉が閉じると、廊下の気配が嘘のように消える。

壁一面の大型スクリーン。

複数のモニター。

中央の長いテーブルにはパソコンやタブレットが並び、一部の画面にはすでに事務所内の映像や各種データが表示されていた。

今まで二階で行われていた情報整理だけでも、私から見れば十分普通じゃなかった。

でも。

ここは、その比じゃない。

「ここ……ずっと資料室の隣にあったんですか?」

後から入ってきた暢さんに尋ねる。

「ありましたよ」

「ありましたよ、じゃないんですけど」

何回、この隣で普通にファイル探したと思ってるんですか。

「気づかなかったでしょう?」

「全く」

「そういう作りなので」

耀さんが端末を立ち上げながら言う。

「防音性はかなり高いし、通信系統も通常の事務所とは分けてある。外部から簡単に触れないようになってる」

「……触れる?」

「不正アクセスとか」

暢さんが続けた。

「扱う情報が情報ですから。外部からの侵入や情報漏洩をかなり強く想定してあります」

それだけで十分怖いのに。

画面では、映像や時系列、人物と企業の関係性まで整理出来るようになっている。

「……この人たち、本当に何なんですか」

誰に向けたわけでもなく呟いたけれど、返事はなかった。

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