薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
というより。

私が驚いている間に、もう作業が始まっていた。

「トウ、金の流れから?」

耀さんが椅子へ座る。

「先にそれ。紗凪さんの資料と、お前が拾った芸能・美容関係の情報を重ねて」

「了解」

その瞬間。

さっきまで「寝てない」「死にそう」と騒いでいた耀さんの雰囲気が変わった。

指が迷いなくキーボードを走り、複数の画面を切り替える。

必要な情報を抜き出し、別の画面へ送り、暢さんとほとんど言葉を交わさないまま作業が進んでいく。

私は、その横顔をしばらく見つめた。

……いや。

待って。

この人、芸能人ですよね?

歌って。

踊って。

ドラマに出て。

雑誌の表紙にもなって。

日本中に顔を知られている人ですよね?

何で普通にこんなことしてるんですか。

「あのー……」

誰も振り向かない。

「誰か説明してくださいよー」

少し離れたところで映像を確認していた大雅さんが、ようやくこちらを見る。

「ああ。耀は昔からこうだ」

「説明が雑です」

「暢さんの息子だからな」

「それ、第十三話からずっと万能な説明になってません?」

大雅さんが少し笑った。

「別に誰かに叩き込まれたわけじゃないらしいぞ。昔から勝手に覚えた」

「勝手に?」

「で、気づいた頃には暢さんと同じようなことしてた」

私は耀さんを見る。

本人はまったく気にせず、画面を追っている。

「今じゃ、分野によっては親父より速いですよ」

玲奈さんが何でもない顔で付け加えた。

「そうなの?」

「本人は認めないけどね」

「聞こえてるからな、玲奈」

耀さんが画面から目も離さず返した。

「じゃあ否定して」

「面倒」

「ほら」

……この夫婦もよく分からない。

「そもそも、耀が芸能界に入ったのだって――」

玲奈さんが笑いかけたところで、暢さんが振り返った。

「その話はあと」

「はいはい」

助かった。

これ以上、この場で耀さんの人生まで聞かされたら、本当に頭が壊れる。

「トウ、これ」

耀さんの声が変わった。

「見てる」

「紗凪さんの方と一致する」

室内の空気が、すっと変わった。

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