薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
紗凪さんは事故直後の記録を表示した。

「事故後、未來さんは馬淵信治郎に、自分には幼い子どもがいるから表に出られない、守らなければならない、という趣旨の話をしています」

馬淵信治郎は、その子どもが自分の子だと思っていた。

だから、未來を守ろうとした?

事故を起こしたのは未來なのに。

自分には子どもがいる。

だから表に出られない。

――だったら、自分が代わりに。

「……怖」

思わず漏れた。

もし未來が、馬淵信治郎がそう動くことまで分かっていたのだとしたら。

大雅さんも画面を見たまま、低く呟く。

「相手がどう動くか、かなり分かって使ってるな」

「しかも」

玲奈さんが資料を見ながら眉を寄せた。

「耕史にも、自分が父親だと思わせてる」

同じ子どもを。

耕史は自分の子だと思い。

馬淵信治郎も、自分の子だと思っていた。

でも。

実際の父親は。

坂上幹司。

「何なんですか……それ」

胸の奥が気持ち悪い。

誰かを愛したとか。

子どもを守りたいとか。

そういう感情まで全部。

使ったの?

「それにしても」

私は画面を見た。

「何で、そんな鑑定記録まで残ってるんですか?」

紗凪さんが少しだけ首を傾げる。

「そこなんですよね」

「はい?」

「管理がかなり杜撰なんです」

「杜撰?」

「隠しているつもりなんでしょうけど、必要以上に記録を残してる。しかも、別々に保管してるから大丈夫だと思ってるみたいで」

大雅さんが額を押さえた。

「それを一か所ずつ拾われたら意味ないだろ」

「そうなんですよ」

紗凪さんが笑う。

「なので、確認出来るものは全部整理しました」

「……その笑顔がちょっと怖いです」

「えへへ」

「えへへ、じゃないです」

本当に。

この人に今日何回言えばいいんだろう。

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