薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「じゃあ帰ろうかな」

「そうですか」

「奏に、お幸せにって言っといてください」

その言葉に、胸の奥が少しだけざわついた。

耕史は続けた。

「昔、酷いことしたの、俺けっこう後悔してるんです」

画面の中の陸斗さんの目が、僅かに細くなる。

「そうですか」

「両親も亡くなって大変だったみたいだし」

「……ご存じだったんですか?」

「最近、未來から聞きました」

陸斗さんの表情は変わらない。

でも、三階の全員が反応した。

「最近?」

「たぶん一か月くらい前かな」

一か月前。

未來が。

耕史に。

私の両親が亡くなっていることを初めて話した。

そして今、その耕史を、私のところへ“偵察”に向かわせた。

「そうですか」

陸斗さんはそれ以上追わなかった。

「まあ、今日はありがとうございました。奏が幸せなら、それでいいです」

耕史は立ち上がった。

「では」

それだけだった。

本当に。

それだけ。

純さんが扉を開ける。

耕史は一度も振り返ることなく、そのまま事務所を出ていった。

「……本当に帰った」

私が呟く。

「帰ったね」

耀さんが椅子へもたれた。

大雅さんも大きく息を吐く。

「最後まで駒だったな」

「でも」

紗凪さんが画面を見たまま言った。

「何も持ってなかったわけじゃないです」

暢さんも頷く。

核心を知っていたわけじゃない。

むしろ、何も知らない。

だからこそ、警戒も計算もせず。

未來の仕事。

坂上先生。

揉み消し。

五歳の子ども。

そして“一か月前”という時期まで。

そのまま口にした。

期待していた人物とは違った。

でも、耕史が無意識に落としていった言葉は、思っていた以上に多くのものを繋いでいた。

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