薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「まず、髙橋耕史さん」

「はい」

「漢字を」

「髙い低いの髙に、橋。耕すに、歴史の史です」

さらさらとペンが動く。

「現在二十六歳、男性。あなたと同年齢。高校時代の同級生」

「はい」

「交際開始時期は?」

「高校二年の……秋頃です」

ペンが止まった。

「秋頃?」

「……十月だったと思います」

「では、十月頃」

また書く。

「交際期間」

「半年くらい」

また止まる。

「……六か月ほどです」

「最初からそう答えてください」

きっつー。

言ってることは分かる。

分かるけど、もう少しこう……柔らかく聞けないんだろうか。

そこから質問は細かく続いた。

耕史とどうやって付き合うことになったのか。誰が紹介したのか。当時、坂梨未來と耕史はどの程度親しかったのか。二人だけで会っていると知った時、私はどうしたのか。

さらに、当時の連絡先やメール、写真、SNS、共通の友人まで聞かれていく。

「未來さんが髙橋さんへ『奏さんと付き合って』と言ったという話は、誰から聞きました?」

「耕史本人です」

「坂梨未來さんへ確認は?」

「してません」

「なぜ?」

「友達だったから」

「それは理由になっていません」

「……はい?」

思わず顔を上げた。

「友達だから疑わなかった。それは当時のあなたの認識です。私が聞いているのは、なぜ本人へ確認しなかったのかです」

「……」

そんなところまで分ける?

「責めているわけではありません」

「そうは聞こえませんけど」

つい口から出た。

しまった。

でも陸斗さんは、怒りもしなかった。

「そうですか」

「そうです」

「では、言い方を変えます」

お。

変えてくれるんだ。

「当時、本人へ確認しようと思わなかった理由を教えてください」

「……ほぼ同じですよね」

「質問したい内容は同じですから」

そういう意味じゃない。

「神宮寺さん」

「はい」

「今のあなたなら坂梨未來さんを疑う。でも、当時のあなたは疑わなかった」

「はい」

「なら、そのまま話してください。今の自分に合わせて、過去を修正する必要はありません」

その言葉には、少しだけ納得した。

「正しかったか、間違っていたかは今は必要ありません。当時のあなたが何を考えて、何をしなかったのか。それが必要です」

「……未來を失いたくなかったんだと思います」

口にすると、思ったより素直に出た。

「高校からずっと一緒にいて、両親のことも知っていて……私にとって信用できる人だと思ってたから」

「なるほど」

ただ、それだけ。

同情もしないし、否定もしない。

そのままメモへ書き込む。

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