薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
次は深町淳二。

「現在二十八歳、男性。あなたより二歳上。大学時代のアルバイト先で知り合った」

「はい」

交際期間、別れた時期、未來がいつ接点を持ったのか、どちらが先に連絡を取ったのか。

そこだけは、いくら思い出しても分からなかった。

「あなたが連絡先を教えた記憶は?」

「ありません」

「深町さんから、坂梨未來さんと知り合った経緯を聞きました?」

「聞いてないです」

「なぜ?」

「……また、それ聞くんですか?」

「必要ですので」

やっぱり容赦ない。

でも、さっきより少しだけ、この人の聞き方が分かってきた。

一つの出来事を感情でまとめず、細かく分けていく。その中から曖昧なところや、筋の通らない部分を拾っているのだろう。



そして三人目。

「新庄篤郎さん。現在三十歳、男性。あなたより四歳上。当時の勤務先の先輩」

「はい」

会社が倒産した時期、交際期間、未來を篤郎の部屋で見た時の状況、そこからアパートへ戻った時間、金品がなくなっていると気づいた時。

その話に入った途端、陸斗さんの質問がさらに細かくなった。

「合鍵を渡したのは?」

「付き合って半年くらいです」

「あなたから?」

「篤郎から欲しいと言われました」

「理由は?」

「私の帰宅が遅い時、先に部屋へ入って待っていたいからって」

ペンが止まる。

「あなたが不在の状態で、一人で室内へ入ったことは?」

「何度もあります」

「頻度は?」

「週に一、二回くらい……」

「十分ですね」

「何がです?」

「室内を把握するには」

背中が少し冷えた。

そこから、現金、通帳、印鑑、時計、アクセサリーの保管場所を順番に聞かれた。

それぞれ別の場所に置いていたけれど、陸斗さんは一つずつ確認しながらメモへ落としていく。

「室内は荒らされていない」

「はい」

「家具、家電、衣類はそのまま」

「はい」

「換金性が高く、持ち運びしやすい物だけがなくなった」

「……はい」

少しだけ沈黙したあと、陸斗さんはまるで天気の話でもするように言った。

「刑事事件として扱う必要が出る可能性もありますね」

「……刑事事件?」

「現時点では、可能性の話です」

「でも……」

「そこは、必要になれば担当の者へ繋ぎます」

「担当?」

聞き返す。

「この事務所には、案件に応じて連携する担当者がいます」

「それぞれに?」

「はい。法律相談だけで完結するものばかりではありません。今回も、調べた内容によっては警察や検察が関わる案件へ発展する可能性があります」

そんなところまで話が大きくなる?

「だから、詳しく聞く必要があります」

陸斗さんの目が、まっすぐこちらを向く。

「都合が悪いから省く。恥ずかしいから言わない。自分に不利だから少し変える。それをされると判断を誤ります」

淡々とした声。

「嘘もごまかしもなしに、起きたことをそのまま話してください」

「……はい」

きっつー。

でも、この人は私を責めたいんじゃない。

ただ、曖昧にしたくないだけなんだ。

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