薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
作戦の舞台は、正式オープン前の新しいホテルだった。

「……まだ営業前なんですよね?」

「はい」

一般客の出入りがない環境を確保しやすく、ホテル側も安全確認や施設運用の最終調整期間中。

必要な範囲を使わせてもらえるよう、事前に調整されているらしい。

エントランス横にはラウンジ。

二階には広いレストラン。

もともとパーティーやレストランウエディングにも対応出来る造りで、映像設備もある。

「……凄いですね」

感心しているのか。

引いているのか。

もう自分でも分からない。

しかも。

館内すべてを関係者だけで埋めれば、さすがに不自然になる。

そこで、一部にはホテル側のスタッフや事前に配置された協力者が、一般客に見える形で入っているらしい。

カップル。

友人同士。

仕事の打ち合わせ。

一人でお茶をする人。

あくまで自然に。

誰がどこにいるのか、私は知らない。

その方がいいらしい。

知っていれば、無意識に視線を向けるかもしれないから。

「……何かもう、ドラマみたいですね」

「神宮寺さんの周り、最近ずっとそんな感じじゃない?」

純さんが笑う。

否定出来ないのが悲しい。

来月オープン予定のホテル。

ラウンジ。

二階のレストラン。

現場へ入っている関係者。

紗凪さん。

通信機器。

すでに動いている鈴子さん、征さん、玲奈さん。

そして。

私。

普通に考えれば、こんな場所へ自分から行きたいなんて思わない。

怖い。

大掛かり。

やりすぎ。

言いたいことはいくらでもある。

それでも。

ここまで準備してくれているから、私は未來の前に立てる。

一人だったら。

きっと、あのLINEを送ることすら出来なかった。

スマートフォンを見る。

『奏、大丈夫? 会おう。今日でもいいよ』

あまりにも昔と変わらない言葉だった。

だからこそ、胸に残った。

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