薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
ホテルへ着く頃には、事務所で感じていた呆れや可笑しさは、ほとんど消えていた。

正式オープンを控えた館内は新しく、磨き上げられた床や大きなガラスへ柔らかな昼の光が映っている。

私はエントランス横のラウンジへ入り、窓際の席へ座った。

すでに何組かの客がいる。

でも。

誰が協力者で。

誰が関係者なのか。

私には分からない。

紗凪さんも、どこかにいる。

でも。

全然分からない。

耳元には、ピアスに紛れるように仕込まれた通信機器。

そこから時折、陸斗さんや暢さんの声が小さく届く。

『もうすぐ着くよ』

未來から届いたのは、それだけだった。

車なのか。

タクシーなのか。

そんなことまで聞けば不自然だから、余計な確認はしない。

今の私は。

“男に騙され、お金までなくし、昔の友人を頼った可哀想な女”。

ちなみに。

ホテルを指定する時は、私自身かなり引っかかった。

――お金ない設定なのに、ホテル指定して大丈夫なんですか?

そう聞いた私に、皆さんは、

“人目のある場所で会いたいとでも言えば不自然ではない”

簡単にそう答えた。

……本当に?

でも、未來は一切疑わなかった。

『分かった。そこ行くね』

それだけだった。

コーヒーカップへ手を伸ばしかけ、何気なく窓の外を見る。

その時。

ホテルの車寄せへ、一台の車が滑り込んできた。

陽射しを受けて光る、鮮やかな赤いボディ。

低い車体。

正面に見えたエンブレムを認識した瞬間、思わず目を細めた。

「……え」

赤いポルシェ。

まさか。

本当にあの車で来るとは思わなかった。

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