薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「でも」

その空気を切るように、女性の声がした。

「奏さんの言ってること、ほとんどその通りよ」

少し離れたところで、さっきまでスタッフとして料理を運んでいた女性がトレーを置いた。

そして、こちらへ歩いてくる。

「……え?」

髪型も。

化粧も。

雰囲気も違う。

でも。

その笑い方。

分かる。

「紗凪さん?」

「はーい」

軽く手を上げた。

「ずっといたんですか!?」

「いたわよ。かなり近くに」

「全然分かりませんでした!」

「分かったら変装の意味ないでしょ」

それは。

そうだけど。

その瞬間。

「……お前」

坂上先生の声が変わった。

今までで一番、はっきりと。

紗凪さんがそちらを見る。

「あら。気づきました?」

坂上先生が、紗凪さんを凝視する。

「会社にいた……」

「はい」

にっこり。

「三週間ほど、お世話になりました」

坂上先生の顔から、一気に色が消えた。

スクリーン。

社内資料。

内部でしか分からない記録。

そして。

紗凪さん。

「お前が……」

「派遣で普通に働いてましたよ」

「……」

「そちらで業務上触れられる情報と、周辺から確認出来るものを整理しました」

紗凪さんは笑っている。

でも。

坂上先生には、全然可愛く見えていないと思う。

むしろ、一番会いたくなかった人なんじゃないだろうか。

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