薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
そんなことを考えていると、先ほどまでとは違う、ゆったりとした足音が入口から近づいてきた。

何気なくそちらを見る。

一人の男性がレストランへ入ってきた。

年齢は六十前後だろうか。落ち着いた色のスーツを隙なく着こなし、白髪の混じった髪も綺麗に整えられている。

派手なところは何もない。けれど、その人が室内へ足を踏み入れただけで、緩み始めていた空気が少しだけ引き締まった。

貫禄がある。

しかも、かなりダンディ。

男性は室内を一度見回してから、私たちの方へ歩いてきた。

「皆さん、ご苦労さまでした。ここから先は我々の仕事です」

落ち着いた声だった。

その言葉を聞いた瞬間、また少し肩の力が抜ける。

ここから先は任せていい。

もう、私たちが未來たちを追う時間じゃない。

そう思った、その直後。

「あー、剛君」

鈴子さんが、ものすごく普通の声で言った。

「今回はありがとうね」

「いえ、鈴子さん。こちらこそです。随分大きな材料をいただきましたから」

「そう? 役に立ったなら良かったわ」

「役に立ったどころじゃないですよ」

普通に会話している。

私は男性と鈴子さんを交互に見た。

……剛君?

今、この貫禄たっぷりの男性を?

「あの……」

我慢出来ずに口を挟むと、男性がこちらを見る。

「はい?」

「剛君って……どなたですか?」

一瞬、妙な間が落ちた。

鈴子さんは「あら?」と本気で首を傾げる。

「言ってなかった?」

「何をですか」

「友田剛君。山路さんの弟よ」

「山路さんの……弟?」

聞き返した私に、聖子さんが横から説明してくれた。

「亡くなったうちの主人の弟よ」

「えっ?」

反射的に聖子さんを見る。

「じゃあ、大和さんと大雅さんの……」

「叔父だ」

少し離れたところにいた大雅さんが短く答えた。

「そういうこと」

聖子さんも頷く。

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