薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
なるほど。

そこまでは分かった。

親戚。

普通。

少なくとも今までの流れでは、それほど驚くことでもない。

――と思った。

「でね」

鈴子さんが何でもないことのように続ける。

「今は警視総監」

「…………はい?」

警視総監。

私はもう一度、目の前のダンディな男性を見る。

聖子さんの亡くなったご主人、友田山路さんの弟。大和さんと大雅さんの叔父。

そして、現職の警視総監。

「…………」

そういえば、さっきまでここにいた大和さんの姿もない。玲奈さんも、いつの間にか自分の仕事へ戻ったらしい。

それにしても。

「……何なんですか、本当に。この一族」

思わず本音が漏れた。

剛さんはそんな私を見て少し笑うと、今度は暢さんへ視線を向けた。

「ああ、それと暢君」

「はい?」

「例の件、忘れないでくださいよ」

暢さんが一瞬だけ目を逸らした。

「……忘れてませんよ」

「本当ですか?」

「本当ですって」

「前もそう言ってませんでした?」

「今回は大丈夫です」

何。

何の話。

警視総監と暢さんが、ものすごく普通に何かの約束について話している。

「……例の件って何ですか?」

我慢出来ずに尋ねると、剛さんが少し笑った。

「Zenith’sですよ」

「Zenith’s?」

「前から暢君に頼んでいるものがありましてね」

すると暢さんがすぐに釘を刺す。

「今回の件のお礼じゃありませんからね。前からの個人的な頼みです」

「そこはちゃんと分けるんですね」

「当然でしょう」

そこだけ急にものすごく真面目。

暢さんが小さくため息をつく。

「耀に聞いておきますよ。ただし、本人たちの都合がありますからね」

「分かってます。急ぎませんよ」

「一番催促してる人が何言ってるんですか」

「忘れられたら困りますから」

警視総監に、元裁判官。検察官、弁護士、情報解析、警察。

ついさっきまで大事件の話をしていた人たちが、今は人気グループの話をしている。

その落差があまりにも酷くて、私はとうとう笑ってしまった。

本当に。

何なの、この人たち。

「では、皆さん。改めて、ご苦労さまでした」

剛さんは最後にそう告げると、何人かの警察関係者とともにレストランを出ていった。

その背中が見えなくなった途端、今度こそ本当に全部終わったような気がした。

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