薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「両親?」
「先ほど、大学三年の時にお二人とも亡くなられたと話されました。ただ、死亡時期と経緯を詳しく確認していません」
「あ……はい」
「あなた自身の背景も含めて確認します。氏名、当時の年齢、亡くなられた時期と経緯。分かる範囲で結構です」
私は一度、息を吐いた。
「父は、神宮寺基。基礎の基と書いて、はじめです。四十五歳でした」
「死亡日は?」
「五月二十五日。私が大学三年の時です」
「原因は?」
「交通事故です。父は……即死でした」
あの日、病院で聞いた言葉。
即死。
その言葉だけは、今でも妙にはっきり覚えている。
「お母様は?」
「神宮寺美加。美しいに、加えると書いて美加です。母も四十五歳でした」
陸斗さんのペンが動く。
「同じ事故ですか?」
「はい。同じ車に乗っていました」
父と母は二人で出掛け、その途中で事故に遭った。
「母は車のフロント部分に挟まれて、救出にも時間が掛かったと聞きました」
「傷病は?」
「内臓破裂、多発性骨折。それから頭部外傷です」
「意識は?」
「戻りませんでした」
機械の音。
人工呼吸器。
いくつもの管につながれた母。
手を握っても、呼びかけても、一度も目を開けなかった。
「六月二日に亡くなりました」
「事故から八日後」
「はい」
陸斗さんは何も言わず、書き留める。
「事故原因は?」
「相手の飲酒運転だったと聞いています」
「相手の氏名」
「馬淵信治郎。四十六歳だったはずです」
「刑事処分や、その後の損害賠償については?」
「詳しく知りません」
「なぜ?」
また真っ直ぐ。
でも、もう少し慣れた。
「それどころじゃなかったんです。両親が亡くなったあと、借金があるって言われて」
「借金?」
「はい。家も会社も整理しないといけないって」
「会社?」
すぐに拾った。
「ご両親は会社を経営されていた?」
「はい」
「どのような?」
「父は美容師で、ヘアメイクアーティストとしても仕事をしていました。自分で会社も設立していて、業界ではそれなりに名前が知られていたと思います」
陸斗さんの視線が上がる。
「お母様は?」
「母はエステやネイルなんかを展開する会社を経営していました」
「それぞれ別法人?」
「はい」
両親は忙しかった。
取材やイベントが入ることも多く、海外へ行くことも珍しくなかった。私はずっと、あの二人は自分のことばかりで、私にはあまり興味がないのだと思っていた。
「事故後、二社ともどうなりました?」
「借金が多いから処分するって」
「先ほど、大学三年の時にお二人とも亡くなられたと話されました。ただ、死亡時期と経緯を詳しく確認していません」
「あ……はい」
「あなた自身の背景も含めて確認します。氏名、当時の年齢、亡くなられた時期と経緯。分かる範囲で結構です」
私は一度、息を吐いた。
「父は、神宮寺基。基礎の基と書いて、はじめです。四十五歳でした」
「死亡日は?」
「五月二十五日。私が大学三年の時です」
「原因は?」
「交通事故です。父は……即死でした」
あの日、病院で聞いた言葉。
即死。
その言葉だけは、今でも妙にはっきり覚えている。
「お母様は?」
「神宮寺美加。美しいに、加えると書いて美加です。母も四十五歳でした」
陸斗さんのペンが動く。
「同じ事故ですか?」
「はい。同じ車に乗っていました」
父と母は二人で出掛け、その途中で事故に遭った。
「母は車のフロント部分に挟まれて、救出にも時間が掛かったと聞きました」
「傷病は?」
「内臓破裂、多発性骨折。それから頭部外傷です」
「意識は?」
「戻りませんでした」
機械の音。
人工呼吸器。
いくつもの管につながれた母。
手を握っても、呼びかけても、一度も目を開けなかった。
「六月二日に亡くなりました」
「事故から八日後」
「はい」
陸斗さんは何も言わず、書き留める。
「事故原因は?」
「相手の飲酒運転だったと聞いています」
「相手の氏名」
「馬淵信治郎。四十六歳だったはずです」
「刑事処分や、その後の損害賠償については?」
「詳しく知りません」
「なぜ?」
また真っ直ぐ。
でも、もう少し慣れた。
「それどころじゃなかったんです。両親が亡くなったあと、借金があるって言われて」
「借金?」
「はい。家も会社も整理しないといけないって」
「会社?」
すぐに拾った。
「ご両親は会社を経営されていた?」
「はい」
「どのような?」
「父は美容師で、ヘアメイクアーティストとしても仕事をしていました。自分で会社も設立していて、業界ではそれなりに名前が知られていたと思います」
陸斗さんの視線が上がる。
「お母様は?」
「母はエステやネイルなんかを展開する会社を経営していました」
「それぞれ別法人?」
「はい」
両親は忙しかった。
取材やイベントが入ることも多く、海外へ行くことも珍しくなかった。私はずっと、あの二人は自分のことばかりで、私にはあまり興味がないのだと思っていた。
「事故後、二社ともどうなりました?」
「借金が多いから処分するって」