薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「誰から、そう説明されたんですか?」

「弁護士さんです」

陸斗さんのペンが止まる。

「氏名は?」

少し考える。

「坂上幹司さんです」

ガタンッ――。

奥で、大きな音がした。

振り返ると、茂樹先生が椅子から立ち上がっていた。

表情が、さっきまでとまるで違う。

「奏さん」

「はい?」

「今……誰と言った?」

「坂上幹司さんです」

茂樹先生の眉間に、深い皺が寄った。

「さかのうえ……?」

低い声。

「まさか、あの坂上幹司か?」

「知ってるんですか?」

今度は陸斗さんが、父親を見る。

茂樹先生は、すぐには答えなかった。

「悪徳弁護士として、散々名前の挙がった男だ」

「……え?」

意味が分からない。

坂上さんが?

「でも、あの人……両親の借金も、会社のことも、家の処分も全部やってくれました」

「神宮寺さん」

陸斗さんが割って入る。

「会社の決算書、株式、資産状況は確認しましたか?」

「……分かりません」

「ご両親個人の預貯金、不動産、保険は?」

「ほとんど覚えてません」

「相続財産の一覧は?」

「……見たのかもしれないけど、覚えてないです」

「すべて坂上幹司へ任せた?」

「はい」

答えるたびに、胸の奥へ妙な不安が広がっていく。

あの時の私は、本当に何も知らなかった。

父をその場で失い、母は意識不明。その八日後には、母まで亡くなった。

その直後に会社、相続、借金。

そんなことを一人で判断できたはずもない。

「坂上幹司さんを紹介したのは?」

「未來です」

空気が止まった。

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