薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
私はしばらく、陸斗さんの顔を見ていた。

今日だけで、どれだけの情報を頭へ詰め込まれたんだろう。

両親の事故。

未來の本心。

坂上先生との関係。

警視総監。

十六年前。

そして、突然のプロポーズ。

もう無理。

私は両手で顔を覆い、そのまま深く息を吐いた。

「とにかく、この話は一旦保留です」

「神宮寺さん」

「保留です」

陸斗さんが何か言おうとしたけれど、今はもう聞ける気がしない。

「もう帰りたいです。無理です。キャパオーバーです。勘弁願いたいです。お許しを〜」

最後の方は、自分でも何を言っているのか分からなかった。

周囲から笑いを堪える気配がする。

「奏ちゃん、完全に限界ね」

聖子さんが笑いながら言った。

「来ますよ、限界も!」

私は勢いよく立ち上がり、もう一度陸斗さんを見る。

「結婚の話も」

「はい」

「十六年前の話も」

「はい」

「今日は、もう絶対にしません」

「分かりました」

「本当に?」

「はい」

少しだけ間があった。

「……続きは後日で」

「だから今それ言わなくていいんです!」

また笑い声が上がった。

その日は、本当にそれで終わった。

――はずだった。
< 203 / 290 >

この作品をシェア

pagetop