薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
あの日の、とんでもない出来事のあと。

私は数年ぶりというくらい、見事に高熱を出した。

翌朝、目を覚ました時には身体が鉛のように重く、頭もぼんやりして、起き上がることすら出来なかった。

体温計を見る。

「……嘘でしょ」

高い。

そのまま私は数日間、仕事を休むことになった。

緊張が切れた反動なのか。未來や坂上先生と向き合った疲れなのか。長い間追いかけ続けた真実へ、ようやく辿り着いたせいなのか。

それとも、一日のうちに事件の真相から十六年前の記憶、挙げ句の果てには突然のプロポーズまで詰め込まれたせいなのか。

たぶん、全部。

「……もう無理」

熱に浮かされながら、何度そう呟いたか分からない。

そしてその間、私は陸斗さんに対してかなり強めの禁止令を出した。

『絶対に来ないでください』

『でも――』

『立ち入り禁止です』

『神宮寺さん』

『今、陸斗さんまで来たら熱上がります』

そこまで言ったら、さすがの陸斗さんも引き下がった。

少なくとも、家の中には来なかった。

代わりに看病してくれたのは聖子さんだった。

食べられそうなものを作って、薬や飲み物を用意して、私が眠れば静かに部屋を出ていく。

本当にありがたかった。

ただし、余計な情報まで持ってくる。

「陸斗、しょげてるわよ」

「……知りません」

「ものすごくよ」

「知りませんって」

「今日も『神宮寺さんの熱は』って三回聞かれた」

「聞かなくていいです」

「本人に言って」

そんな聖子さんからだけではない。

愛梨さんや純さんからも、似たような連絡が来た。

『陸斗先生、今日も元気ないです』

『陸斗、めっちゃしょげてるよ』

知らない。

本当に知らない。

私は高熱で寝込んでるんですよ。

何で私が、プロポーズした本人のメンタルまで心配しなきゃいけないんですか。
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